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コラム

第127回

「存続の臨界点」

世界の祭典「北京オリンピック」が、8月24日閉幕し、北京五輪「巨大特需」は終焉を向かえた。消費市場と化した中国で育った企業が、一旦動きを止めると窮地に追い込まれるのではと危惧されている。

企業活動は、存続するために泳ぎ続けなければならないマグロのように思える。恵まれた餌場で育った魚は、ただ闇雲に泳いでいるだけでは、やがて立ち行かなくなってしまう。遠くの餌を見つけそこまでいく能力がなければ、きびしい生存競争の中で生き残れない。

人が率いる企業経営の世界でも、パラダイムの今、方向を定め、ビジネスのメカニズムを、徹底して追求できる企業だけが生き残る。

過日、銀座の女将から、次のような話を聞いた。
「最近、よく来てくれていた社長さんの会社が、つぶれてしまってね。これまで、多くの経営者の方々を見てきたけど、会社をつぶさない経営者は、一言でいうと、人が1努力するところを、倍努力している。でもね、なかなか人の倍の努力をできる人は実際には少ないのよ。倍努力することが大切だといわれて、頭ではそうだと理解していても、いざ倍の努力が必要な場面に出逢っても、ここまで頑張ったのだからもういいやとかいって、会社を駄目にしてしまう。きっと、頭のどこかで、結果はたいして変わらない、と思い込んでいるのよ。
私たちは、先代から人の倍も3倍も努力しなければ生きていけないと教わった。倍の努力の結果は、断じて2倍なんかでなくてね、5倍の結果になるのよ!馬鹿よね~。みんなこれを知らないから、1の努力でやめてしまう。そして、会社を駄目にしてしまう。もったいないよね。いくら努力して頑張っても、うまくいかないなんて云っている人は、うまくいく境界線にいく前にやめてしまっているのよ!」との話を聞いた。

結果の格差は、能力が違うわけではなく、努力を1でやめたか、やめずに2倍努力したかの違いにしかないと・・。ビジネスの勝ち組と負け組の前には、ともすれば越えられない差があるように思いがちだ。しかし、実際は愚直に徹底した努力をしたかどうかが、存続の臨界点を超えるか超えないかの差なのだ。

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