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コラム

第143回

「つなぐ」

今年も残すところあと一カ月となった。実質10年を超えるデフレ基調が続き、株安・円高、そして、例のない成熟縮小均衡マーケットの中で、大きな変革と先々に出口の見えない年を感じた方々も多かったのではないだろうか?

新たな政権が誕生し、人々の意識や価値観の革命が起こり、今年はパラダイムシフトの年として歴史に残る年になると思う。

過日、浅草の伝統職人の中小経営者の集う会で、手に職をつけたい若者が、最近多く訪ねてくるとの話を聞いた。新卒の大学生や、大会社を辞め、職人として働きたい人達が増えている。

特に、インターネットがスタンダードツールになってからは、情報が入手しやすくなり、高度な専門の知識やスキルを持った人たちは、組織に属さず、企業の盛衰に振り回されることのない、個人事業主として、「インデペンデント・コントラクター」「プロフェッショナル・ワーカー」「フリーエージェント」といった呼称で、新しい働き方をする人々が増えてきている。

ここ数年の多種多様な商品やサービスを求める消費者のように、「職のロングテール」の方向への意識変革が始まったように感じる。

老大国日本は、様々な問題が噴出し始めている。企業にとっては、新たな付加価値を創造してゆくイノベーションへの挑戦が不可欠な時代だ。これまでの延長線で、仕事を進めていけば、楽かもしれないが、先々は必ず衰退に入る。

パラダイムシフトが起こっている今こそ、新たなチャレンジをしてゆかないと、次の時代で存続が見えてこない事業を抱えている企業が多い。様々な業界でイノベーションをしてゆかなければとの声を聞くが、そのアプローチの一つは、私は「人と人をつなぐ」ことにあると考えている。

ユニクロと東レとの出会いによって、ヒートテックのような爆発的ヒット商品が生まれたように、人と人との出会いのOpportunities(機会)によって、化学反応が起きる。
時代が変革している今こそ、起業家精神を持った人と人をつなぐ機会を創り出し、革新的なことを起こしてゆきたいと思っている。

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