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コラム

第157回

「信頼の歴史が利益をつくる」

私が、これまで多くの企業と接した中で、利益を安定して確保する企業の共通項として確信していることは「信頼の歴史が利益をつくる」ということです。

当たり前のことですが、利益を出すには、顧客の満足無くしてありえません。現在の様な、環境が激変している時代の中で、安定して利益を出し続ける企業は、「時代を洞察し変化し、顧客を創造してゆく企業」です。

上記に対応する企業の歴史の上に、信頼が構築され、利益が生まれます。今のビジネスモデルや商品を守るだけでなく、新しい事業を立ち上げイノベーションしなければ、必ず企業は立ち行かなくなり、やがて淘汰されてしまいます。

しかし、こういった企業の風土は、一朝一夕に育つものではありません。

「イノベーションしてゆく為に、新規事業を育てることに多くの企業がトライしているが、なかなか育たない。どうすれば育つのか?」との相談が増えてきました。その答えは、一言で云うと「起業家を育てる」ことです。

「経営マネージメント」と「起業」は、違った世界です。このことを経営陣は、理解しなければなりません。経営者の役割は、創業を判断する際、起業家を肯定し、支援・助言するスタンスでいることです。(経営が軌道に乗り成長している経営者は、自己を否定しなければならないと言っています。それは、事業が確立しているからです。)

また、起業家の役割は、自己を知り自分を肯定し、会社のルーツや経営資源を確認し、時代を洞察し、未来の自社の姿をイメージし、方向を定め、企業とシンクロさていくことです。そして、変えてはいけないDNAや理念と、変化に対応する構想とアイディアを、事業計画に落とし込む英知を集めることです。

また、自社は「何屋か」の定義を、経営陣と起業家と、支援する社内インキュベーターとが、共に定めることが肝要です。

新しい事業とは、「既に起こっている事実で、これからの時代に影響力をもつ事になる変化だが、まだ一般には認識されていない変化を知ること」と捉え、自社の事業ドメインの中でシナリオを描き、独自の競争力によって、その市場でのオンリーワンでナンバーワンを目指していくことにあります。

企業内新規事業は、経営資源を活かすことが、セブン銀行の様に競争優位に繋がります。そして、逃げない起業家に任せ、経営との整合性をとりながら、人事やメンターを絡め、マーケットに答えを求め、新規事業を支援する外部のインキュベーターが必要です。
また、すべて自前主義ではなく、他の企業とアライアンスを組むことが、今の時代は大切です。

「利益を出す新規事業を創る」ことは、簡単ではありません。しかし、上記の様な枠組から起業家が育ち、事業が創生され、顧客の信頼の上にゴーイングコンサーンの利益が創出されるのだと私は思っています。

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