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コラム

第160回

「現場は、宝の山」

過日、話題になっている大手外食企業の社長との会食の際、世界に対してのマーケティング戦略の話を伺う機会がありました。この会社は、100年の歴史を持つ企業です。

日本を始め、世界に4,000店近く展開し、最近では中国で知名度を高め、事業拡大し収益を上げています。

「中国で、利益を出して凄いですね?」と尋ねると、「泥臭いマーケティング」と、「創業期からの味を守り、何処でも変わらない味とサービスの平準化をしている」との答えが返ってきました。「泥臭いマーケティング」とは、現場に徹底したマーケティングとの意味でした。

『中国の顧客には、地域の調味を使うこと』との話を聞いても、そのまま信じることなく、日本のサービスと味で展開して通じるかどうか、必ず現場で試してみるとのこと。店に入り、直接お客様と中国の社員と共に接客してゆくと、その場で答えが視えてくるのだそうです。

「現地での顧客接点から、いろいろな課題が視えてくると、自分の体が熱くなります。様々な工夫を重ねると、その土地のニーズと伝統文化の交差した独自のビジネスモデルが出来上がってくるんですよ!」と、目を輝かせながら語ってくれました。

現場でメンバーと会話を交わしていくと、意欲が湧き上がり、現場に居てこそ智慧が出て、現場に居てこそ人との絆が出来上がり、変革のパワーに変身してくるシーンが視えるような気がしました。

よく雑誌やマスコミでコメントしている評論家は、間違ったことを言っていません。しかし、何故か表面的な内容で、心に届いてこないのは「現場での顧客との戦いからの汗の匂い」が感じられない「空論」だからなのだと思います。

現場に行かなくても、様々な戦略は立てられます。しかし、現場の空気によって、心や体で感じる感情・気付きで、智慧が生まれ行動が変わり、変化に機敏に対応するイノベーションパワーに繋がります。

昨今の閉塞感を打破するには、どんな国でも、どんな企業においても、「現場には、宝の山」があることを信じて、顧客の求める要望に、現場のメンバーと共に熱く愚直に闘うことだと思いました。

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