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コラム

第172回

 「起業の成功の法則」

11月18日、関東ニュービジネス協議会の企業内新規事業委員会で、フリュー株式会社の田坂社長から講演をいただきました。

フリュー社はオムロンから企業内起業し、MBOした成長企業であり、田坂社長は「企業発ベンチャー協議会」の代表理事も務めておられます。オムロンの中で、30年間一貫して新規事業の立ち上げに従事し、30億を超える利益を上げる事業会社を育てたイントレプレナーの語る内容だけに、極めて興味深く共感した内容でした。

お話し頂いた一部を紹介させて頂きます。

田坂社長の企業内起業の成功起点は、事業領域の選定に1年費やし、成功確率の高い市場を客観的に設定することにありました。そして、その市場の中で、独占している企業がないこと、自分達の身の丈にあったマーケットであること、魅力と適社度の視点から、参入を決めたとのことでした。

次に、誰が起業リーダーになるかが、成功要因の大きな要素であり、新規事業リーダーは、持って生まれた資質(このことを「天然もの」と表現)によるところが大きいとのことでした。

社長がなすべき仕事は、新規事業に対する決意、決断、覚梧を持ち、起業リーダーに対し、会社の支援体制や仕組み作りをすることであるとの内容でした。

「どんな事業にも必ず衰退期は訪れる。新規事業なくして企業の成長なし」と、講演を締めて頂き、参加頂いた皆さんから、大きな反響を呼ぶ講演でした。

講演を聞き終え、田坂社長は「自然体で、素直な経営者」といった印象が残りました。社会人になって立場あるポジションに付くと、なかなか人の意見を素直に受け入れられないものですが、成功している経営者は共通して、人の批判やアドバイスや市場の声に耳を傾けます。

事業の成否は、常に客観的です。自らの希望的観測に向けてがむしゃらに努力しても、マーケットはまったく反応しないことがあります。それは、客観的でないからです。

若者の心を捉えたフリュー社の成長の歩みを伺っていて、様々な人々の声を取り入れ、商品やサービスを開発してきた根底には、「素直な心」で取り組んできた田坂社長の経営スタイルが流れていると思いました。

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