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コラム

第173回

「曙光」

昨年は、日本も世界も、多事多難な危機に直面した歴史に残る年でした。

こういった年の瀬の12月7日、東証マザーズに25歳の村上社長率いるリブセンスが上場し、最年少経営者の上場記録を塗り替え話題を呼びました。

変わりゆく歴史の転換期の中で、これまでの繁栄の方程式が変わり、新たなヒーローの誕生は、閉塞感漂う日本経済の中で、曙光が射してきたように感じました。

2年前、当社でお会いした際、一見どこにでもいそうな23歳の村上さんは、「今、目の前で起こっている既存企業の提供サービスへの、不便さや矛盾、違和感を、ビジネス機会と捉え、もっといいサービスを創り出し、人々の生活に役立ちたい!」と、語っていました。

その後、固定概念を持たない彼の創り上げたビジネスモデルは、理念、ビジョン、ビジネスモデル、マーケティング、収益モデルも、これまでにない発想を形にした事業で、ユーザーから高い支持を受け成長しています。

いつの時代も、環境変化によって発生する新たなニーズに、既存事業会社が対応せず手をこまねいていると、新たな挑戦者が出現し、これまでの勢力にとって変わり、業界をイノベーションしてゆきます。

本年も、デジタルグローバル社会での進化スピードは速まり、国境を越えた構造転換の中で、新興国・新産業や、企業間での新旧交代が、ますます激しくなってくるものと予測されます。

昨年、青年登山家の栗城史多さんが、世界最高峰のエベレストに、酸素ボンベを使わずに単独で登る自らの姿をセルフ撮影し、インターネットで時を共有する生中継は、人々に大きな感動を与えました。時と空間をリアルに感じ合える境目のないデジタル世界は、 マルチタスク化を可能にし、社会に強烈なインパクトを与えています。

デジタルグローバル化が与えた世界経済の本質が、連鎖と不均衡にあることが浮き彫りになってきました。現実を見つめ、新たな”かたち”でチャレンジしている村上さんや栗城さんのような人達が、一人でも多く出現し、日本をイノベーションしてゆく2012年でありたいものです。

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