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コラム

第193回

「オンリーワン企業MUJI」

過日、33年間無印ブランドを色あせることなく維持し続け、世界にMUJIブランドとして力強く展開している良品計画社長の金井さんの話を聞く機会がありました。

創業時から、「豊かさってなんだろう」「カッコいいってどういうことなんだろう」を求め続けたという良品計画は、今ではスプーン一本から、お菓子、雑貨、衣料品、ベッド、更には古い団地を再生し住宅に至るまで扱い、現在国内379店、海外206店の規模になっています。

無印良品の生まれた原点は、堤清二さんとグラフィックデザイナーの巨匠・故田中一光さんが、大量消費という社会現象に、アンチテーゼとして、本当の豊かさを問い続けた理念であり、時には顧客のウォンツとは逆方向の商品を提供してきたところにあります。

田中一光さんが語った、「簡素が豪華に引け目を感ずることなく、その簡素の中に秘めた知性なり感性なりが、むしろ誇りに思える世界、こういった価値観をいま世界に発信できれば、もっと少ない資源で豊かさとか美意識を謳歌できる。だから、MUJIと茶の湯を世界語にしよう」という言葉に、無印良品を創り上げた理念が、表現されているように思います。

他と比較する「相対価値」でなく、自分達の信じる「絶対価値」を、収入に関係なく誇りを持って豊かな生活ができる無印良品の提案は、今、多くの人々に愛され年々共感の輪が拡がっています。

現在、良品計画のフェイスブックのコミュニティページに、30万人を超える人々が、MUJI「いいね」で繋がっています。 

これだけの多くのMUJIファンと繋がったプラットホームができてくると、良品計画独自でオウンドメディアを使い、マス広告ではできなかった「顧客とのダイレクトな関係」を築き、最適なコミュニケーションを図ることができるようになります。

MUJIのコンセプトに共感した人々への新たなマーケティング戦略が、「かっこいい生き方・MUJIライフスタイル」として波紋が拡がっていく流れを、今後注目してゆきたいと思います。

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