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コラム

第208回

「新渡戸稲造」

過日、岩手県盛岡市出身で5千円札に描かれた新渡戸稲造の記念室を訪ねました。
新渡戸稲造は、幕末に南部藩の武士の家に生まれ、生涯を「太平洋の架け橋」になろうと国際交流に尽くした教育者であり国際人です。

新渡戸稲造は、国際連盟事務局次長や太平洋問題調査会理事長などの要職を務め、「人類は一つ」との信念を持って、万国の民の平和と協力の理想実現の為に生きた人であり、「武士道」を著して世界に日本の侍の生き様と考え方を紹介したことで有名な人です。

「武士道」は欧米で好んで読まれ、英語のみならずポーランド、ドイツ、ノルウェー、スペイン、ロシア、イタリアなど、多くの国の言語に翻訳されてベストセラーになっています。
世界各国が認識した「サムライ」「武士」の姿は、新渡戸稲造の「武士道」に大きく影響されたといわれています。

私も、当社の創業時に監査役から「武士道」を紹介され、何度も読み返しました。

この書は、日本の道徳観念は封建制と武士道が根幹を成していることに気付いた新渡戸稲造が、諸外国に日本独自の道徳概念を紹介することを目的に著した書です。新渡戸稲造はこの著作を通し、東西の思想を比較、分かりやすく解説することで、人々の心をより深く結ぼうとしました。

「武士道」とは、「騎士道の規律」であり、「高貴な身分に付随する義務」があり、武士が守るべき信義、道徳の作法です。「武士道」は、長い歴史を経て語り継がれ、日本人の心に深く大きく刻まれ「道徳」を作り出してきた日本人の魂といわれています。

今、上映されている岩手の遠野市が舞台となった役所広司と岡田准一が共演した映画「蜩の記」は、10年後切腹を命じられた藩士が、武士道の信義を貫き美しく生きた様を描き、多くの観客の涙を誘い”涙活(るいかつ)”映画に認定されました。

最近、ダイバーシティという言葉がよく語られています。
日本人の生き方や考え方を持ちつつ、多様な考え方を取り入れ、グローバル社会は一つと捉え、万国の人々の平和と幸せの実現に努めた新渡戸稲造の精神が、ますます求められています。

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