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コラム

第201回

「商売の意義」

街の中から姿を消していく店舗が後をたたない。これから実店舗はどうなっていくのだろうか。近未来を予測してくださる著名な方々は、買い物なんて全てデジタル化され、出かける必要性はなくなる。店舗空間が残ってもそこは無人の監視カメラが見守る商品置き場となるがそれで充分だとおっしゃる。つまり対人接客など全く無用ということだ。

確かに、ロボットがすべての家事をこなし、ポチるどころか生活必需品等は、家電からの自動発注で、ロボット君が配送してくれるのが日常になるのも、すぐそこに見えてきている。

今でもAIさんがチャットで相談・誘導してくれるし、人の顔が見たければネットライブもある。買い物空間の環境が必要ならVRがある。ともかく家の中から出なくていい。(はい、便利です。解っています。)

ところでお買い物って、そんなに面倒で、そんなに嫌な事だったのだろうか?ここぞとばかりに、張り切ってお買い物に出かけて、プロの店員さんに接客を受けて気分の良い時間を過ごすのも買い物の醍醐味だと思っていたが、そう出来ない方や面倒な方も増えているのだろう。

それにしても、通信技術の進歩は遠隔で買い物は勿論、学校も仕事も旅行も出かけなくても可能になった。そのうち触覚や臭覚、味覚も操作できるようになるかもしれない。となると本当に人と会う必要性もなくなりそうだが。

とはいえ、全ての人類がそれを望むとも思えないので、店舗という形態がすべてなくなる事はないはずだ。しかし、これからの店舗には、そこにいかないと実感できない体験や、感動や優越感等、より以上の顧客満足が求められる事は言うまでもない。

少しばかり話題の店をだせばお客様が来て下さるという時代ではない。なにしろ客は我儘、お客様は神様なのだ。神様といえば、経営の神様と呼ばれる松下幸之助氏が諭された「商売の意義」がある。

◎お客様に喜ばれ、お客様の役に立つことを、自分のいきがい、使命と捉え心を込めて効率的に工夫をこらし進めていく。そしてキチンと収支がなりたつ。これが商売の道であり企業の大小問わずの原点である。

◎お客様の心が読める事。一を聞いて十を知るのが商人。

◎常にお陰様の感謝の心をもってお客様に接して商売を続けること

(やはり神様の言葉は深くて解りやすい)

とにもかくにも、オンラインショップであろうが、リアル店舗であろうが、販売して利益をえる商売であることは変わらない。

これからの実店舗はオンラインとの融合を強いられると思うが、いろいろな課題を商売の義を忘れずに克服していけば共存していけるはずだ。そういえば、最近、大手家電店の接客が今まで以上に感じが良くなったと思っていたら周囲の人達の評判も良かった。

やはり人間の接客が受けられる実店舗もあるのがいい。なにしろ、客というものは我儘なもので。

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