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コラム

第205回

「人生は掛け算」

年寄りは集団で自決(場から退くという意味)をするべきとは、先ごろ人気上昇中の若手経済学者さんのご意見だ。。

確かに時代錯誤で妄想ぎみの状態にもかかわらず、絶対的な権力を持ち続けたい一部の高齢者の決断が国内外問わず多くの人に害を及ぼしているのは誰もが知るところだ。まったく、己の既得権益を渡さない為に、未来を担うべき時代の先端を進む人にとっての大きな壁、重石、ひいては老害となって生末を妨害している。

長生きは次世代の為に何かを渡すための時間であり邪魔をする時間ではないのにだ。長生きといえば、高齢者の寿命が伸び続けている。地球規模で現在人数として加算されるとその割合は大きい。その上子供が増え続ける国があるので人口が減る兆しがみえない。

2050年には97億超えると国連が予測している(同じ年、世界人口に占める65歳以上の比率は20年の9.3%から15.9%に上がる)もう、若者に負荷がかかる一方ではないか。人口増加で食料不足になると200年以上前からマルサスさんが人口論で述べておられた。

そう、人口は掛け算で増えるが食料は足し算でしか増えないからだ。だから戦争や災害や疫病の次は飢饉を起こすことで、地球は人口のバランスをとるしかなくなるという。(現代においても悲惨な紛争や年々勢力を増す自然災害、落ち着く様子が見えない感染症等人類の生命を脅かす事柄は引きも切らない。)

しかし、そのあらゆる苦悩に対して立ち向かった結果が人類の進歩につながったという説だ。なるほどである。

だからこそ今、まさに人類の危機を回避するためSDGsというキーワードが生まれ、世界中の社会課題に取り組んでいる人や、企業や自治体が増えている。

企業に関しては、ESGという(環境・社会・企業統治)の視点から企業の価値を向上させていくことが求められ、社会課題を解決するビジネスに多くの投資が行われている。その運用資産は2025年には53兆ドルを超えるそうだ。

例えば、食糧不足にはフードテック、教育格差にはエドテック、医療介護にヘルステック、大量廃棄→リサイクル等など、あらゆる課題に技術開発が進んでいるのもESG投資があればこそだ。

ともかく、200年前には考えられなかったあらゆるテクノロジーで、未来の不安は軽減されるはずだが、技術は使う側の人間次第である。なので、老若男女国籍問わず、同じ時代の課題に向き合う同志としてSDGsやESGの視点をたえず持たなければならないと思う。特に高齢者は未来への貢献は自分事として捉えていないと、いい加減自決しろ!!なんて言われてもしょうがない。出来れば若者の邪魔にならないポジションを自ら選び、自分のできる範囲の事で未来を担う人や企業の支援や応援をしてほしいと思う。

あえていうなら、経済成長重視で環境破壊をしてきた結果、社会にこのような悪影響を及ぼした現高齢者世代の義務ともいえるのだ。年寄りらしく社会のお役にたてる事をしていたら、かの学者さんに、最近の年寄りは、なんだか格好いいよねと褒めて貰えるかもしれないではないか。

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