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コラム

第257回

「新年新心」

新しい元号に変わる、歴史表記転換の年を迎えました。

今から30年前、平成がスタートした年の日本経済は頂上にいました。世界の時価総額ランキング上位50社中、日本企業が32社でした。現在、トヨタ1社のみとなっています。今では信じられませんが、九州と中国のGDPが同じ規模でした。現在、中国は日本の2.5倍に成長しています。デジタルの進化によって、第四次産業革命が始動し、業界の垣根が無くなり世界経済の景色は大きく変わりました。
この30年、株価や名目賃金は世界で見ると約2倍に成長しています。日本は、ここ数年は成長していますが、30年前から見ると低迷しています。

平成30年、日本のIPOは91社となり、資金調達額は過去10年の最高水準で2,100億円、12月19日に上場したソフトバンクを含むと、2兆8,000億円を市場から調達しています。そして、大手企業とスタートアップの提携や、企業内起業も増大し、特にコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の動きは、目を見はるものがあります。業種も多様化し、現在の第四次産業革命は、異業種のテクノロジーや異なる顧客群との垂直の組み合わせによって、これまでにないイノベーションを生み出しています。大企業とスタートアップとの連携によるオープンイノベーションは、一時的なブームではなく産業構造の進化による必然的な事象となって来ました。

世界は今、政治も経済も不安定な状況にあり、前例のない変化が起こり、これまでの延長では存続できない時代です。
過日、AIで著名な東大の松尾准教授から、「世界の大手ネット企業には6,000人のAI人材がいる。日本の産業界や研究機関には3,500人のAI人材がおり、AIの分野では世界をリードできるポジションにいる」と、聞きました。松尾塾では、上場したグノシーを始め、パークシャテクノロジーといった多くのAI起業家が集い、産業と人工知能の繋がりが活発化しています。
実用ステージでは、ファナックを始めとする生産メーカーや、アルゴリズムによってマッチングを高めているリクルートやアトラエがAIを活用した成果を出しています。

本年度も、変化と湧き出すエネルギーを味方にして、「一人ひとりが人生のCEOとして生きる社会」の実現に向けて、人と企業に成長機会を提供してゆきたいと思います。

この一年が、健康で心豊かな一年でありますように。本年も、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

2019年 元旦

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