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インキュベーションレポート

ウィズガーデンのインキュベーション

6年ほど前、大手内装会社に勤める個性溢れるデザイナーさんと、老舗茶屋の中枢にいたライフスタイルマーチャンダイザーが、「ガーディニングビジネス企画」を持って相談に見えました。自分達が考えたビジネスを具現化してくれる方を探しているという内容でした。二人が語るガーデニングの世界は、土の香りと言うより、絵画とハーブのハイソサエティーな香りが漂う内容で、私には興味深いものでした。しかし、具現化するにはいくつかの課題(資金、要素、ゴール)がありました。

この事業アイディアを、どのような会社でやるべき事業なのかと思案しておりました時に、多摩中央ミサワホームの山口社長が、街の緑化に努力されていたことや、個人的にも緑を大切になさっていた事を思い出し、御提案することに致しました。まさに山口社長は、なにか新しいやり方で、新しい事業ができないものかと考えていらした最中でした。しかも、エクステリア(屋外のインテリア)関連で・・。当社の吉井の顔をみるなり、「なんかいい新規事業アイディアないの?」と言われたとき、そのタイミングの良さに内心驚きながら、ガーデニングビジネスへの参入についてご提案したところ、大変感心を持たれ、すぐに新規事業の検証を始める事になり、コンセプト創りから店舗のオープン後のフォローまで、一貫したプロジェクトで対応させていただきました。提案をいただいたお二人にも本事業のサポートをお願いし、それぞれの役割で素晴らしいご活躍を頂きました。新規事業の立ち上げ成功に必要な要素は「人材(ブレーン)に恵まれることだ・・」とこの時も強く感じた次第です。

デザイナーのTさんは素晴らしい感性のある人で、樹木の選定から、雑貨商品のMD、販売管理機能までを構築していただきました。老舗茶屋のMさんは、コンセプトコントロールとブランディングを中心に、イートインのカフェまでプロデュースしてくださいました。当初3ヶ月は、どんな事業がいいか、どのくらいのマーケットがあるか、どの場所で、誰が、いつから、どんな組織で等、一つ一つ手探りで幾度も討論しながら進めていき、この期間に大方の事業計画は出来上がりました。結果、日野の郊外型飲食店の店舗跡に場所が決定してからは、これまでに積み上げたプランを基に、具体的に実行に移して行きました。

当然、新規事業の立ち上げですから、様々な問題との遭遇で、組織のセオリーが絡んだり、担当者がプランに行き詰って時間が延びたりと、どのような企業にもおこる新規事業の壁にぶつかり、メンバーにも、かなりのストレスがありました。検証期間も含め約1年後、店舗の要となる店長もリクルーティング出来て、無事にオープンした時は本当に安堵いたしました。

初めての試みということで、赤字覚悟で始めたにも関わらず、美しい景色(庭のサンプル)を見ながらお茶も飲め、庭の設計も頼めて、土も、ゆのみも買って帰れる「おしゃれで、便利」が受けたのか、初年度から黒字のビジネスになりました。 もちろん今日まで、その成功は毎日現場にいる方々の努力の賜物ですが、お二方が弊社に相談にみえる事がなければ、間違いなく日野のこの地で花開いた「ウィズガーデン」事業の種は生まれることは無かったと思います。今年の花博で、現店長デザイナーさんが、造園グランプリを受賞されたことも、大変うれしいニュースでした。

人と人とが出会い、人と企業との出会いによって様々な事が生まれてきます。弊社の真髄である、「事業機会の窓」を改めて実感した仕事でしたが、今も尚、その感動は続いていることが、私達の喜びとするところです。

担当コンサルタント:マザー北條 夏旭