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3C分析とは/本質的な”価値”の捕らえ方と事例を紹介

ビジネス戦略に欠かせない「3C分析」は、顧客(Customer)競合(Competitor)自社(Company)の視点から、事業や商品を成功に導くためのフレームワークです。この分析手法を活用することで、顧客が求める価値を見極め、自社の強みを最大限に引き出しながら競合に勝つ「勝ちゾーン」を見つけ出すことが可能になります。

本記事では、専門学校業界での実際の事例を通じて、3C分析の具体的な使い方とその効果について解説します。

3C分析とは

ビジネス・マーケティングのフレームワークで3C分析という考え方があります。
Customer:顧客|Competitor:競合|Company:自社 の頭文字を取って”3C”と呼ぶ整理の仕方です。

これは、顧客の価値に応えるもので、競合に対して優位性を築ける領域で、自社の強みを最大限に生かす、事業を考えるために用いられるフレームだと私自身は捉えています。

勝ちゾーンを見出す

このフレームはとても使い勝手が良いのでぜひ皆さんにもお勧めしたいと思っています。

1)何かのプロジェクトをスタートさせるときに3者の関係を改めて整理する時
2)自社の販売成績が伸び悩み”次なる一手”を考える時
3)どうして今この商品が売れているのか分析をする時

など色々な場面で使えるツールなのです。

使い方はとてもシンプルで、それぞれの丸に入る要素を洗いざらい書き出していきます。その中で勝ちゾーンで戦える商材はなにか?アイデアはなにか?競合が自社の勝ちゾーンに参入してこないために置くべき障壁策はなにか?と考えていきます。

注意点は、負けゾーンと激戦区に入るようなサービスは魅力的に見えてしまう(顕在化している価値のため)こと。それに引っ張られているとなかなか自社独自のスタンスを見出せない事が挙げられます。無理にそのゾーンに入っていっても、価格競争に巻き込まるだけになってしまいます。またそれは、”逆のこと”も言えるのです。

具体例として「専門学校業界」での話

私は前職で「専門学校屋さん」をしていました。専門学校屋さんとは、いわゆる”先生”ではなく、学校運営のプロの事です。業務は多岐にわたりますが、学校の生命線は「学生募集」です。

ただ、顧客が専門学校に見出す価値は紛れもなく「教育価値」なのです。見せ方である広報が重要なのは言わずもがなですが、それが本質ではない。そういった世界で生きてきました。

今の専門学校業界は就職率では勝負できません。どの学校も表向きの広報上は就職率90%以下の学校は1校もないと言っていいでしょう。顧客から見た専門学校の就職実績は、どこも同じく高い(つまり就職は出来る)数字で優劣が付きません。また高校生目線から見た知っている企業が、ブランド企業であるジャンルもあれば、そうではないジャンルもあります。(皆さんは日本のウェディング業界でのTOP3の結婚式実施数の企業を答えられますか?ビールであれば、キリン・アサヒ・サッポロ・サントリーみたいに言えますが、よくわからない業界はたくさんありますよね。)

具体的な固有名詞はお出しできませんが、その専門学校グループの中で”局長”という運営責任者を長らく担ってきた、そんなキャリアです。

では学校運営における”3C”とはどういうことなのか。冒頭に示した通り、顧客(学生・保護者・産業界)にとっての価値、自校の強みを最大限に活かし、他校が生めない価値を生み出す。ということになります。顧客に学生・保護者という入口目線と、産業界という出口目線があることが学校業界の特殊なところでしょうか。

3年制専門学校への”イノベーション”

非常に特殊な例ですが、私が居た専門学校の業界は就職活動が極めて早期スタートでした。理由は簡単で、専門学校卒も大学卒も同じタームで採用活動を行うことが業界の慣例となっており、大学生の就活スタートに乗っからなければならない業界だったからです。

今は(実際のところ)大学3年の秋から冬にかけて企業説明会が始まる企業がほとんどです。これを2年制の専門学校に換算すると「1年生の秋から冬にかけて」就活をスタートさせなければ間に合わない。そのために、1年生で入学したての頃から”企業研究”や”履歴書指導”、”面接練習”をしなければ間に合わない。そんな「不」がありました。

これは夢を抱き入学してくれた学生にとっても大きな「不」ですが、実は企業側から見ても入学して半年しか経っていない”18~19歳の学生”を面接しても、用意してきた答えしか答えられず、本当の採用面接が出来ない、という「不」がありました。

そこで学校全体を3年制にすることを考えたのです。この変更は従来の『専門学校=2年制』という考え方から離れ、前例のない新しい挑戦に踏み切るものです。

ただ、学校と業界を取り巻く状態は前述の通り歪んだものであったため、教職員・講師からは非常に好意的なリアクションを得ることが出来たのです。これまで就職活動と、本来最重要である”職業観の醸成(キャリア教育)”と”専門教育”を急ピッチで仕上げなければならない教育フローよりも、1年延びることで出来る「教育の可能性」の方が魅力に感じたのだと思います。
また、産業界・企業からも歓迎の声を頂く中で、私も挑戦することが出来たというのが正直なところです。

さらには、学校を検討する高校生からも「2年で社会に出るのは不安」「本音を言うともう1年長く学生でいられるには嬉しい」という声が、学費支弁者である保護者にとっては総学費が1.5倍になるわけですが、「3年制の方がうちの子には安心」という捉える方も多くいることが分かりました。(もちろん学費が原因で入学検討校から外れることもありました)

まとめ:3C分析を使った本質的な”価値”の捕らえ方

3C分析の使い方から、私自身の事例において3C分析を使うとどう整理できるか。という話をさせていただきました。

改めて3C分析は、市場を取り巻くステークホルダーの関係性を整理することに長けたツールであると感じていただけたでしょうか。

優れたイノベーションの共通項は、「顧客は誰なのか」「顧客にとっての価値は何なのか」「競合に対する圧倒的な優位性をどう築くか」を語りたくなるくらいストーリー化されている点にあります。

上記の3年制の事例では「3年制にしたからこそ出来た教育の質の向上」というキラーコンテンツを業界と一緒に創り巻き込んでいったことが”勝ちゾーンの創出”につながるイノベーションになりました。(具体的には今回の中では語り切れなかったので、次回機会あればお話しします。)

皆さんも私お勧めの”3C分析ツール”ぜひ使ってみてください。