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コラム

第82回

「上海の情景」

過日、久しぶりに会社のメンバー達と「上海」に行ってきた。

東京汐留に新しくできた高層ビルを超えるようなガラスウォールのビル群が聳え立ち、数多くの工事中のインテリジェント高層ビルが目に入った。これまで中国は、世界の工場であり供給基地と云われ、ユニクロをはじめ、多くの日本企業が生産ラインをシフトしてきた。

しかし、目に映る上海は、以前にも増して、ハイセンスな衣類をまとった人達が闊歩し、新しくできた新天地では、朝までやっているディスコを始め、様々なコンセプトの店には、パワー溢れる若者達で溢れていた。

そして、最近オープンした、ドレッシングのピエトロが運営している洋麺屋に、若いカップルが賑わい、楽しげに語り合っているシーンを見ていると、まるで青山や六本木のレストランにいる感覚だった。 

今、「消費する街上海」の姿を見ていると、最近の日本における鉄鋼関連株の高騰が示しているように、日本のビジネスモデル、工作機械、原材料、ロボット等と、供給先としての「お客様上海」へとシフトしてきていると感じる。

11月現在、通貨元は1元13円となっているが、ブルーワーカーの月給が2年前には8千円だったものから1万1千円に、ホワイトカラーの月給が、2万5千円から5万円に上がっており、ホワイトカラーの人件費は、この10年間でなんと「10倍」に上がってきている。

ブルーとホワイトの格差が、年々大きく広がり、2重構造に拍車がかかって来ている。かつて、日本が歩んだインフレ期の乱気流に、上海は、入り始めていると思えた。人口100万都市が、160もあるといわれている中国。都市集合の国であり、一部の地方都市は、周りから栄養を取り込み成長し、暴走しているのかも知れない。

こういった状況下で、これからの中国と付き合っていくには、160都市のそれぞれ状況の違う都市の「お客様」ニーズは、異なっていると認識しなければならない。そして今後、チャイナ特需の何に手を出し、何に手を出さないかの答えは、日本の1980年の後半から、1990年の時代が教えてくれる気がした。

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