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コラム

第115回

「卒業」

最近、転職相談にみえる方から、「卒業」という言葉をよく聞く。卒業とは、何かを達成し、未来の新たなステージに希望を持って、決断し通過する「節目」を表す言葉だ。

ビジネスマンにとって、卒業のネクストステージは、転職や独立だけでなく、社内の異動や昇進も含まれる。しかし時々、人によっては達成感を持たずに、新天地を求め、体裁で使っている人が、いるように感じる。

卒業していないと思える人達は、行き先が何処なのか解からない船に乗って、これまで大海で不安を感じることなく過ごし、嵐に遭遇したり、自分の居場所がなくなった時、なりゆきで新たなステージを求めているように見える。

一方、卒業した人達は、これまでの役割の頂点に到達し、自己実現の方向に、自らの意志でハンドルを握り、自らの人生をコントロールしている。こういった人達は、人との物理的な比較で、キャリア選択するのではなく、「自己を知り、自分のできること、なりたい自分、手にしたいもの」を視点に、自らの目標に向かって意思決定し、行動している。

キャリアをデザインする際、信頼できるキャリアデザインのプロに「自分がどんな姿で、その人に映るのか?」素直に、これまでの歩みや、自らの内面を話し、聴いてみることだ。その人の中に写る自分の人間像が、きっと視えてくる。自分の姿は、自分で見ることができない。

孔子の言葉で、「天高くして、鳥飛んで、鳥の如し、水深くして、魚泳いで、魚の如し」という言葉がある。「空を飛びたい!」と願っていたら、自分は鳥でなければならない。そして、自分が魚であれば、海を求めればいい。

卒業は、自分が何者なのかを知り、先々どうあることが自分らしく生きられるのかをイメージし、その為のゴールを定め、目標を達成してゆくプロセスにある。

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