news

ニュース
インキュベーション・新規事業立ち上げ・イントレプレナー・経営幹部採用のインターウォーズ > お知らせ > 学校経営の成功戦略|価格競争に負けないプレミアムな教育モデルとは?—専門学校業界の新しい価値創造—

お知らせ

学校経営の成功戦略|価格競争に負けないプレミアムな教育モデルとは?—専門学校業界の新しい価値創造—

1. はじめに:専門学校市場の特殊性

一般的な市場では、リピーターを獲得しながら長期的な売上を確保するのがビジネスの基本戦略です。しかし、専門学校市場は「純粋なリピーターが存在しない」という点で極めて特殊です。

学生は一度卒業すると基本的に戻ってくることはなく、同時期に2つの学校に通うことできないため、本質的には比較のしようがありません。新規顧客の獲得がすべての収益を支えることになります。

このような市場において、従来の価格競争や単純なマーケティング手法では限界があるため、プレミアムプライシング高価格×高価値)を前提とした戦略が必要になります。

2. プレミアムプライシングの適用とその考え方

参考としたのは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の再建を手がけた森岡毅氏の「確率思考の戦略論」にある「価格と市場原理」に関する考察です。

USJが価格を上げつつも、圧倒的なコンテンツ価値を提供することで成長したように、専門学校業界でも「高価格×高品質」の戦略が十分に成立すると考えました。

市場の特徴として、専門学校の顧客(学生と保護者)は「将来のキャリア価値」を最も重視するため、価格が高くてもそれに見合うメリットがあれば選ばれます。したがって、単なるカリキュラムの充実ではなく、卒業後の圧倒的な就職力を生む仕組みを作ることが鍵となります。

3. 3C分析による新しい学校コンセプトの創出

このプレミアムプライシング戦略を実現するため、3C分析(Company・Customer・Competitor)を用いて、新しい専門学校のコンセプトを考えました。

① Company(自校)

強み:教育の質を高めることで高単価を実現する能力がある。

課題:従来の2年制教育では、入学後すぐに就職活動が始まり、職業教育がおざなりになってしまう。

② Customer(顧客)

求めるもの:

  ・企業から求められる人材としての価値(即戦力)
  ・早期就職のプレッシャーからの解放
  ・学びながらリアルな経験を積める環境
  ・3年間学生でいられるモラトリアム期間

③ Competitor(競合)

他の専門学校は、2年制が一般的。実習よりも座学に重点を置いている、または全学生が業界就職をするカリキュラムを放棄し、楽しい学び、楽しい学生生活に振り切っている。

この分析から、専門学校業界における課題は「早期の就職活動への対応と、職業教育の両立が困難である」ことだと考え、それを解決するために3年制の導入を決断しました。

4. 3年制導入とウェディング業界との提携

私は新卒で専門学校業界に入り、16年間、特にウェディングプランナーの専門学校を立ち上げ、11年間運営責任者を務めてきました。その経験から、学生がより深い知識と実務経験を身につけるためには、現場での実習機会を拡充することが重要であると考えました。

そこで、通常2年制が主流のカリキュラムを3年制にし、ウェディング業界と提携することで、延長した1年間を長期かつ質の高い実習期間として位置づけ、即戦力となる人材を育成できる仕組みを構築しました。

導入施策
 1・2年目:基礎学習とウェディングプランナーの実務を学べる実習(業界基礎+実践的インターン)
 3年目:早期就職内定と実際の結婚式場での本当の結婚式運営(卒業後の就職内定+本物の体験)

これにより、学生は卒業後すぐに即戦力として活躍でき、企業側もリスクなく優秀な人材を確保できる仕組みが整いました。このようにして、「高価格だが圧倒的なキャリアメリットを提供する専門学校」としてのポジショニングを確立しました。

5. まとめ:プレミアムプライシング戦略の成功ポイント

プレミアムプライシングを成立させるためには、以下の3つの要素が重要です。

1.価格以上の圧倒的な価値提供(例:就職率・実習制度の強化)
2.市場の特性を理解したコンセプト作り(リピーター不在の特殊市場に対応)
3.競合が簡単に真似できない仕組みの構築(ウェディング業界との提携など)

専門学校市場のような特殊な市場でも、プレミアムプライシングは十分に通用することを、今回のケーススタディを通じて示しました。今後は、この戦略を応用し、さらに多くの分野で実践していくことが求められます。


本記事では、専門学校を題材にプレミアム戦略の設計と実装についてご紹介しました。このモデルは、教育業界に限らず「価格競争から抜け出したい」と考えるあらゆる業界に応用可能です。

もしご自身の業界で同様の課題を感じていたり、「構想はあるが、戦略に落とし込めない」「価格の根拠を明確にできず困っている」といったお悩みがあれば、ぜひ一度お話を聞かせてください。

インターウォーズでは、業界を問わず、価値設計・ブランド戦略・市場浸透のご支援を行っております。

(初回相談無料/課題が漠然としていても問題ありません)