news

ニュース

イントレプレナー塾

社内プレゼン前にやるべきSMARTの法則|新規事業の目標設定術

1. 社内プレゼンは「ゴール」ではなく、検証のスタート地点

新規事業がいちばん動き出すのは、アイデアが少しずつ形になり、「これならいけるかもしれない」という手応えが出た瞬間です。

「これならいけるかもしれない」と手応えが出て、社内プレゼンに向けて資料を作り、仲間や上司を巻き込みながら前に進んでいく。この立ち上がりの熱量は、何よりの推進力になります。

ただし新規事業において、社内プレゼンの承認は“到達点”ではありません。

むしろ承認は、「次に何を検証するか」を決めて走り出すスタート地点です。

この視点がないままプレゼン準備を進めると、資料は「通すため」に磨かれる一方で、承認後に必要な“検証の設計図”が薄くなりがちです。

逆に言えば、社内プレゼン前の段階で「次に何を証明すれば前進と言えるのか」を置けると、承認後の検証の立ち上げスピード(動き出しの早さ)と、検証の精度(ムダな打ち手を減らし、判断に必要なデータが揃う確度)が大きく変わります。

2. SMARTは“承認後”だけでなく“企画中・資料作成中”に効く

SMARTは「目標設定のフレームワーク」として知られていますが、新規事業では少し見方を変えると効き方が増します。

ポイントは、SMARTで作るのは“理想の目標”ではなく、「次に証明したいこと(検証目標)」だということです。

■ SMARTの法則とは
SMARTの法則とは、目標を「具体的で、実行できて、判断できる形」にするためのフレームワークです。
 ・S(Specific)具体的であること:誰に何を提供し、どこまでやるかが一文で分かる
 ・M(Measurable)測定可能であること:達成・未達が数字や条件で判断できる
 ・A(Achievable)達成可能であること:体制や制約を踏まえた現実性がある
 ・R(Relevant)目的と関連していること:上位目的や勝ち筋につながっている
 ・T(Time-bound)期限が明確であること:いつまでに何を示すかが決まっている

例えば「新規事業を成功させる」は前向きですが、経営者は判断ができません。

一方で「90日で、ターゲット企業の決裁者10名にヒアリングし、課題一致が7件以上ならPoC提案へ進む」のように書くと、次の一手と判断基準が明確になります。

3. 企画フェーズでのSMART:顧客・課題・価値の仮説を1行で揃える

企画フェーズでは、最初からきれいな事業計画を作るよりも、仮説の芯(顧客・課題・価値)を1行で揃えることが重要です。SMARTを使って「検証目標」を書くと、議論が“アイデアの良し悪し”から“検証の設計”へ切り替わり、チームの認識が揃いやすくなります。

ここではBtoBの新規事業を想定し、企画〜プレゼン準備の段階で置けるSMARTの例を3つ紹介します。

【事例①】バックオフィス業務効率化SaaS(課題一致の検証)

よくある言い方(曖昧)「経理を効率化するSaaSを作る」
SMART(企画フェーズの検証目標)60日以内に、対象業界の経理責任者15名にヒアリングし、こちらが想定する仮説課題(例:請求処理・仕訳・経費精算など)が“現場の一次情報”でも支持される状態を作る。具体的には、仮説に含めた課題のうち上位3つについて、10名以上が「自社でも大きな課題だ」と回答する。
KPI例(先行指標/結果指標)・先行:決裁者ヒアリング数、紹介経路数、課題深掘りの回数
・結果:仮説課題の支持率(上位課題の一致度)、緊急度、現行コスト(時間・外注費など)
判断基準(ピボットの目安)仮説課題がバラける、緊急度が低い、自社内で投資判断に必要な根拠が揃わず、検証予算(開発・PoC費)の合意が取りにくいは、ターゲットや課題設定を見直す。

【事例②】製造業向けAI品質検査(PoC合意の検証)

よくある言い方(曖昧)「AIで検査工程を自動化して省人化したい」
SMART(企画フェーズの検証目標)90日以内に、ターゲット企業5社でデータ取得条件を確認し、そのうち2社と“評価指標つきPoC(合否基準が明確)”の合意を取る。
KPI例(先行指標/結果指標)・先行:現場訪問数、データ提供合意数、セキュリティ審査の着手数
・確認:PoC合意数(評価指標つき)、合格基準(例:不良検知率、誤検知率、処理時間)
判断基準(ピボットの目安)データ取得が現実的でない、PoCの合否基準が置けない場合は、提供価値や導入条件を再設計する。

【事例③】商談準備を支援するセールスSaaS(定着の検証)

よくある言い方(曖昧)「営業を強くするツールを作る」
SMART(企画フェーズの検証目標)45日以内に、まず3社で週1回の運用トライアルを実施する。あわせて、トライアルに参加する3社のBtoB営業マネージャー計10名にヒアリングし、現在の商談準備プロセス(情報収集→仮説立て→資料作成→社内レビューなど)を可視化して、どこで時間がかかっているか、何がボトルネックかを棚卸しする。
そのうえで、トライアル終了時に参加者の70%から「今の運用を継続したい」という回答を得ることを目指す。
KPI例(先行指標/結果指標)・先行:トライアル参加社数、週次利用回数、生成物(提案骨子・仮説メモ等)の実利用率
・結果:継続意向(70%)、時短効果(週あたり削減時間)、商談準備リードタイム
判断基準(ピボットの目安)“便利”止まりで継続意向が弱い、個人の努力に依存して定着しない場合は、用途を絞るか、導入設計を見直す。

4. プレゼン準備フェーズでのSMART:KPIと判断基準を先に決めて提案を強くする

社内プレゼンで強い提案は「夢のストーリー」だけでなく、“次の期間で何を証明するか”が言い切れている提案です。

そのために、プレゼン時には次のセットを考えておくことができると承認後の迷いが減ります。

  ・検証目標(SMART):次の30/60/90日で何を証明したいのか
  ・KPI(先行指標/結果指標):毎週追う指標と、期間末に判断する指標
  ・判断基準(Go/Pivot/Stop):数字で明文化
  ・必要リソース:人・予算・協力部門(SMARTのAを支える)

たとえば「6か月で有償顧客3社」は良いゴールですが、社内プレゼンではさらに一段強くできます。

「なぜ3社なのか」「その前に何を積み上げるのか」「未達ならどうするのか」を先に置くことで、提案の説得力と実行力が同時に上がります。

SMARTは「目標」ではなく、“次の検証”を決める道具

SMARTは、目標管理のための“きれいな言葉”ではありません。

新規事業を、熱量だけで走らせずに「次に何を証明するか」「どの数字で判断するか」を揃えるための、実務の道具です。

社内プレゼンはゴールではなくスタート地点。

企画中・資料作成中からSMARTで検証目標と判断基準を整えておくと、承認後に行動の迷いが減り、意思決定も速くなります。結果として、限られた時間とリソースを“当たりを引く確率が高い検証”に集中できます。

インターウォーズでは、こうした考え方を前提に、企業内で新規事業を生み出すための仕組みづくりと伴走支援を行っています。たとえば、

イントレプレナー塾:アイデアの磨き込みから、仮説検証の設計、社内プレゼンに向けた論点整理までを、実践形式で進めるプログラム
イントレパス:社内の挑戦が“点”で終わらないように、評価・意思決定・次アクションの設計を含めて、運用として回る形に整える支援

イントレプレナー塾では、ただ「企画を考える」だけで終わらせません。SMARTを“次の検証を決める道具”として使いながら、たとえば次のような流れで、社内プレゼン用の資料(論点と判断基準が揃った状態)まで一気通貫で作っていきます。

  ・仮説(顧客・課題・価値)を1行で揃える
  ・「次に何を証明するか」をSMARTで言語化する
  ・KPI(先行/結果)とGo/Pivot/Stopの判断基準を置く
  ・必要リソースと進め方を具体化し、社内プレゼンのストーリーに落とす

「社内で新規事業を求められているが、何から手をつければいいかわからない」

「社内プレゼンに向けて、説得だけでなく“検証の設計”まで落としたい」

そのような状態からでも、SMARTを起点に、次の一歩を具体化することができます。

興味のある方は、お気軽にご連絡ください。まずは状況を伺い、どこからSMARTで整えると前に進みやすいかをご一緒に整理します。