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150年企業が挑戦し続ける理由 ― 金森産業 × インターウォーズ 対談

創業から150年、時代とともに変わり続けてきた金森産業株式会社。

今回、インターウォーズが運営するイントレパスとやまへの参加をきっかけに、新規事業創出への“舵切り”を本格化。

このインタビューでは、金森洋平社長が語る「半歩先への挑戦」と、それを後押しする仕組み、そして未来への展望を紹介します。

創業150年の企業が、新規事業を生み続けてこられた理由

菅野(インターウォーズ):まず、金森産業さんの歴史について伺いたいのですが、創業は染料の販売から始まったとうかがっています。

金森社長:そうですね。150年以上前、繊維用の染料を扱う商いからスタートしました。ただ現在では、その事業は全体売上の2〜3%ほど。あとの97〜98%は、創業後の社員たちが新しい商材を見つけ、育ててきたものなんです。

菅野:150年の歴史そのものが、社員の挑戦と開拓の歴史ですね。

金森社長:本当にそうです。新規事業という言葉が一般化するよりもずっと前から、社員たちが“自分の手で新しい商売をつくる”という文化は根づいていたのだと思います。

■ キーワードは「半歩先」――金森産業のビジョン

菅野:御社の掲げているビジョン「人と技術をつなぐパートナー」には、どんな思いが込められているのでしょうか。

金森社長:新しい技術を開発しても、その技術が困っている人に届かないと課題は解決できません。私たちは、その“あいだ”に立ち、両者をつなぐ存在でありたいと考えています。
そのビジョンを支えるキーワードとして、

 ・誠実
 ・半歩先
 ・フルスロットル

という3つの行動指針を置いています。

菅野:特に「半歩先」という言葉が印象的です。

金森社長:一歩先に行きすぎると、お客様も社内もついてこられません。でも同じ場所にとどまっていても、未来は開けません。だからこそ、現場が“少し背伸びすれば届く未来”――その半歩先を、誠実に、そしてフルスロットルで追求する姿勢が、会社の根幹になっていると思います。

挑戦を支える仕組み

■「15%ルール」と「チャレンジ投資枠」

菅野:社員のみなさんが挑戦しやすくなるよう、制度としてはどんなものがあるのでしょうか?また、それを社内ではどのように展開されているのか教えてください。

金森社長:まず、当社には「15%ルール」という仕組みがあります。これは就業時間の15%程度までを、自分が取り組みたいテーマや課題意識に使ってよいとする制度です。通常業務だけで1日が終わってしまうと、どうしても“新しい価値づくり”に時間が割けません。だからこそ、会社として「この時間は自由に挑戦していい」と明確に位置づけています。

さらにもう一つが「チャレンジ投資枠」です。新たな企画に必要な費用を、各部署の予算ではなく、会社全体として投資する仕組みです。現場の管理職はどうしても月々の数字を優先せざるを得ません。そこで会社として、「リスクはこちらが持つからまずやってみよう」と背中を押すことで、挑戦が“本当にできる空気”をつくるようにしています。

イントレパス富山へ。二人の社員の“変化”

菅野:今年度は、弊社が運営する「イントレパス富山」に2名の社員を派遣していただきました。参加の背景を教えてください。

金森社長:脇本さん・岡島さんの二人には、「会社を代表して行ってほしい」と伝えて参加してもらいました。座学ではなく、実際に“事業案という形のアウトプット”に挑戦できる点に魅力を感じました。

菅野:プログラムを通じて、お二人にどんな変化を感じられましたか?

■ 脇本さん:「御用聞き」から「提案型」へ

金森社長:脇本さんは物腰が柔らかく、お客様に寄り添うのが得意なタイプですが、プログラムを経て、「本当の課題は何か」「自社の強みをどう価値に変えるか」という視点が強くなりました。

これまでの“御用聞き”中心のスタイルから、「提案型の仕事」へと明確に踏み出したと感じています。これは彼のキャリア全体において、大きな財産になるはずです。

■ 岡島さん:顧客が“今すぐ使いたい”と言うレベルの企画

金森社長:岡島さんは、既存事業の延長線上でありながら、お客様から「すぐに使いたい」と言われるほど具体性のある企画をまとめてきました。

さらにアンケートでも「会社の将来を自分の役割として捉えられるようになった」と書いてくれていて、組織全体を視野に入れて考えるマインドが大きく育ったと感じます。

■ 二人に共通していた“経営視点”と“仮説思考”

菅野:お話を伺うと、お二人とも思考の深さが増しているように感じます。

金森社長:そうですね。共通していたのは、

 ・自分の企画を“経営の視点”で見る力
 ・仮説を立て、検証しながら磨いていくプロセス

この二つがしっかり身についてきた点です。これは、今後どの部署・どんな役割になっても使える“思考の型”です。挑戦には結果よりもまず、そのプロセスを回せるようになることが一番の価値だと思っています。

新規事業は“飛び道具”ではなく、“半歩先”にある

菅野:最後に、新規事業についての考え方を聞かせてください。

金森社長:新規事業というと、まったく新しい大発明が必要なように思われがちですが、既存事業を少し変えるだけでも立派な新規事業です。

 ・誰に届けるか
 ・なにを組み合わせるか
 ・どう売るか

これらを少し変えるだけで、今までになかった価値が生まれます。

大事なのは、お客様・社内の強み・現場のリアルを踏まえた“半歩先の仮説”をつくること。そして、それをまず“試してみる勇気”です。挑戦が文化として根づけば、150年の次の未来も、社員が自ら切り拓いてくれると信じています。

菅野:「新規事業は、現場のリアルに根ざした半歩先の仮説から始まる」という言葉が、とても心に残りました。引き続き富山から挑戦を続けていってもらいたいと思います。本日はありがとうございました。

※本インタビュー内容は、イントレプレナー育成プログラム終了後の対話をもとに、一部要約・再構成しています。